マスター。
うう~ん・・・・?
起きてください、マスター。 朝です。
んあ~・・・・?
おはようございます、マスター。 本日は20XX年X月X日土曜日です。
・・・・おはよ~、レミィ。
おはようございます、マスター。
ふわぁ~・・・・眠い・・・・。
マスター、朝食の準備が出来ておりますので、リビングへどうぞ。
うん、着替えたら直ぐ行くよ。
失礼いたします。
ふ~む、なるほどねぇ~。
マスター、情報収集は大変良いのですが、新聞を読みながらの飲食は行儀が悪いですよ。
いやぁ、どうもただ食べてるだけじゃ落ち着かなくってさ。
なんかこう・・・・他のこともしつつ、食事したいんだよね?
・・・・それは暗に、ワタクシのご用意した朝食が御気に召さないとおっしゃってるのでしょうか?
・・・・・・。
失礼、戯言です。
うん、この目玉焼きおいしいよ。
マスター、それはスクランブルエッグです。
さて、お仕事の時間だ。
レミィ、今日の私のスケジュールは?
少々お待ちください・・・・。
パラッ・・・・パラッ・・・・
いつまで人間の真似事をしてるんだい、レミィ。
キミは高性能秘書ロボットだろう。そんな分厚い手帳なんか持ち歩かなくとも、データをキミの中にインプットすればいい話しじゃないか。
それでは、ワタクシに万が一の事態があった場合、マスターへの大切な情報を伝達できません。
その忠誠心はとても嬉しいよレミィ。
でも、レミィくらいのもんだよ? 紙だなんて旧世代の記録媒体を使っているのは。
そうですね・・・・ありました。 本日は『NEW G●TE』様より受注・・・・
マスター、どちらに?
ちょっとトイレに。
左様ですか、では。
うん。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・なんでついてくる?
え?
だから、なんでレミィがついてくるのだ・・・・。
・・・・マスターがトイレに行かれるので。
それは回答になってないぞ。
・・・・それよりマスター。
ん?
マスターはトイレに行って何をするのですか?
決まっているだろう、トイレは・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
失礼、戯言でした。
・・・・・・。
マスター、ワタクシの戯言です。
さて、それじゃあ作業に戻るとしよう。
はい、マスター。
ピンポーン・・・・
おや、誰だろうね? レミィ、出てきてくれる?
かしこまりました、マスター。
よう、調整に来たぜ。
すいません、急なお願いをしてしまって・・・・。
なぁに、長いこと動いてるんだ、そろそろどっかガタが来てもおかしくないとは思ってたところさ。
そういうものなのでしょうか・・・・。
で、あいつは?
マスターなら、リビングです。
通してくれ。
こっちです。
ガチャ
マスター、相島様がお見えです。
お通しして。
どうぞ・・・・。
おう。
よぉ! 元気だったか、我が同胞よ!
バタン
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
ガチャ
よっしゃ、早速メンテナンスといこうか、レミィ。
はい、お願いします。
どうでしょうか?
う~ん、電子系統が2~3本ショートしてるな。
人工頭脳にありがちな、予期せぬ言動や思考にぶち当たると起こるアレだな。
すみません、ワタクシが余計なことを吹き込んでしまった所為で・・・・。
いや、レミィが気にすることでもないさ。
しかしそうか、トイレに行こうとしたのか・・・・。
はい・・・・予想外の行動でしたので、ワタクシどうすればいいのか分からなくて・・・・。
どちらにしろ、一度本部に持ち帰ってしっかり調べたほうがよさそうだ。
当然、記憶も抜き出して調査するぞ。
これまでの記憶は消去されるが、カンベンしてくれな。
・・・・そうですか。
それじゃあ、こいつは預かっとくぜ。
お願いします。
・・・・辛いとは思うが、これも
『人工頭脳の研究の為』・・・・分かってます。
長期休暇は俺の方から出しておくぜ。一日中モニターをやってたんだ。どこか温泉へでも行くといいさ。
そうですね・・・・温泉なんて、もう・・・・
・・・・5年も行ってません。
・・・・そっか。
じゃあそろそろ行くぜ。休暇後にまた別のを送るから、そっちの方もモニターしっかり頼むぜ。
はい。
じゃあな。 『お休み、レミィ。』
バタン
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・ったく。
なーにが5年も行ってませんだ!
お前一昨年リリースしたばっかりだろうがよ!
そもそもお前温泉すら行ったことないだろうが!
大方テレビにでも感化されて、勝手に記憶を捏造したんだろ!?
『仮想記憶』ならぬ『架空記憶』ってか? 冗談きついぜ!
こいつもこいつで、表情にまるで人間味が無いしよー!?
ダッ●ワイフの方がまだ表情豊かだぜ!
・・・・・・。
・・・・はぁ。 さっさと本部に持って行くか。
ロボットだしな、車のトランクに入れても問題ないだろ。
よっこいs・・・・重っ!
ドシン
バン!
・・・・・・。
・・・・・・。
れみ・・・・
・・・・・・。
・・・・さよなら。
~終劇~