今日ね、お隣の奥さんが・・・
今日ね、魚屋さんに猫が・・・
そんな他愛のない話をいつまでお前は続けるのだろうか
もっと、他に「あれが欲しい」だとか言わないのか?
私は、試しに聞いてみたことがある
私には、あなたがいれば十分ですよ。
そう言われた。
嗚呼、お前の話はもう飽きた。女はもっと洒落っ気があり、うるさいものかと思っていたが・・・私の細君となったお前は違ったようだ
ある日、私が家に帰ると。
そこには、倒れているお前の姿があった。
医者に連れて行ったが。遅かった
私は、医者に泣いて頼んだ。
「どうか、どうか、助けてやってくれ」
医者は泣きそうな顔で、しかし冷静な声で言った。
「もう、無理です。諦めなさい」
・・・・
あゝ、人の命は儚いといつかお前は言っていたな。
あゝ、お前の声が聞きたい。
教えてくれ、お前の好きな花を
教えてくれ、お前の好きな食べ物を
あゝ、あゝ、あゝ。