あなたって、本読むの好き?
嫌いじゃないかな。カバンには常に本を入れておこうと思ってるわ。
おおー、あたしって根っからのマンガっ娘でさぁ……。
うん。
もう高校生なわけだし、そろそろ普通の本が読めるようにならなきゃって思ったの。
意外と真面目なのね。
それで見た感じ、火を見るよりも明らかで、まさに自明の理! ことあなたの本の虫っぽさを見込んで――
あたしにオススメの本を教えてください!
なんだか馬鹿にされてる気がする……。
……まぁいいわ。いま持ってるのでもいい?
さっすがぁ! 話が分っかるぅ!
全く調子いいんだから。……ちょっと待ってて、カバンに入ってるから。
えっと、確か推理小説を入れたと――
……!!
ん? どうしたのさ。
な、なんでもないわ! あれぇ? 入れたはずなんだけど……。
ふーん。
(ど、どどどどうして去年の冬コミで買ったマンガ(18禁)が入ってるのよ!? 薄いから間違えるわけないのに!)
あったー?
んん!? 見当たらないなぁ……。
あたしも手伝うよー。
やっ! ちょっと、来なくていいから!
いいじゃない減るもんじゃないしぃ。
……減るよ!
何が?
……カ、カロリーとか!
カロリー!?
そ、そうよカロリー! 減るでしょうカロリー!
……それはいいことなんじゃないかな?
えぇ!?
だってそっちまで歩いて、あなたのカバン漁ればカロリー減ってあたし満足。
人聞き悪いな……。
そんで、本が見つかってあなた満足! まさにWIN WINの関係が成り立つよ!
うぅ……。確かに……。
よーし、というわけで――
図書室へ行こう!
……へ?
あなたの所まで歩くより図書室に行ったほうがカロリー消費するでしょ? それであなたとあたし満足。
次に図書室であなたのオススメする本を教えてもらってまたあなたとあたし満足!
……。
そうと決まれば! ほら、置いてっちゃうよー?
う、うん! ちょっと待って!
……。
馬鹿でよかったぁ……。