「うーん・・・・。」
「どうしてこうなっちゃったんだろう・・・。」
天気は快晴、辺りはぽかぽかと暖かいし、風も心地よい。でも私が今住んでいるのはまぎれもなく、橋の下だった。
「わかっていることを何度も蒸し返す事は無駄でしかありません。自分だって何も好きでこんな所にいるわけではありませんから。」
「で、でも毎日考えるんだよ?今と今までのどちらかが夢なんじゃないかなって、いつも、いつも・・・。」
「いい加減現実を受け入れてください。貴女は第21代目の織姫であるにも関わらず、人々の願いを空から『観る』ことが出来ないできそこないで、修練のために下界に降ろされたのです。」
「とばっちりで仲良く一緒に落とされたわたしの身にもなってください。」
「えへへ」
「笑ってお茶を濁す癖は直しなさい」
「な、なんのことだろう?」
「目が完全に泳いでますよ」
「そもそも『織姫』なんだから私の仕事は機織りの筈でしょう。」
「文句なら彦星にうつつをぬかして職務放棄した当時の織姫に言ってください。」
「彼女のせいで正しい機織りの手順が後代に伝わらず、機を織るだけで人々の思いを汲み取る技術は永久に失われてしまったのですから」
「ううう・・・。願いなんて見えるわけないよ・・・お母さんが特別なだけだよぉ・・・。」
「いや、お母さんだって他人の願い事なんて本当に見えてるの?それっぽいことやって上手くいってるだけなんじゃ・・・。」
「人の願いを見ることができるからって本当に運命を変えちゃってもいいのかな?それが本当の幸せなのかな?それに、それに・・・。」
「いい加減にしぃや!!」
「愚痴愚痴言ったところで何か変わるんか!?修練が終わるんか!?何度でも言ったるわ、無駄じゃ!泣き言は万策尽きてから言えやこの出来損ないぺたんこ織姫が!!」
「と、お母様に言われても知りませんよ?」
「入ってた!今絶対に関係ない罵倒が入ってたよ!」
・・・・・・
(にこっ)
(わ、笑ってごまかしたー!!!!)
つづく?