リリリ・・・ リリリ・・・
・・・う、う~ん・・・
リリリ・・・ リリリ・・・
・・・ハイハイ・・・起きますよ・・・っと
俺の名前は「通学路 文(つうがくろ ふみ)」
市内の高校に通うごく普通の高校生だ。
さもありなんと過ぎ行く高校生活という日常に、少しの非日常を求める・・・
成績は平均、運動も人並み、容姿は・・・ ・・・可もなく不可もなく
前述したとおりの普通の高校生なのである。
こうやって毎日遅刻もせず、普通に学校に行くというのは、ある意味尊い事かもしれないが・・・
毎日毎日決まった時間に鳴り響くこの目覚まし時計のアラームには、そろそろうんざりしてきたぞ
・・・ってアレ!?
市内にある学校へは大体30分程歩けば辿りつく
学校のHRは朝8時半から始まるので、俺は余裕を持って毎日8時には学校に到着している
ゆえに俺は毎日、7時に目覚まし時計を設定しているのだ。
しかし・・・これは・・・
るいるいと過ぎ行く毎日に突如として発生した特異点
なんと目覚まし時計は静かに、しかし雄弁に自らの針を遥かなる悠久の彼方へ指しきっていたのである。
8時・・・25分だと・・・!?
学校までは全力で走ったとしても20分は軽くオーバーする、、どうあがいたって遅刻という事だ。
こんな事をするのは・・・アイツしかいない・・・クソッ!!
俺は「こんなイタズラ」をする奴に心当たりがあったのだ
それから俺はベッドから飛び降り、アイツへの仕返しを考えながら学校へ行く準備を1.5倍速でし終えたーー
・・・ハァハァ!!
あら、通学路さん。
あ! 「蛇羽沙 羽途(じゃばさ はっと)」先輩!!
「蛇羽沙 羽途(じゃばさ はっと)」、彼女は俺の一学年上の先輩で、この学校の生徒会長をつとめている。
容姿端麗成績優秀、おまけにこの「私立サノバビッチ高等学校」の理事長の孫という、万年平均値の俺とは天と地とも差がある人物だ。
だがしかし、それがたとえ不釣合いだとしても、人が人に恋焦がれるというのは、人類皆平等に与えられた権利なのではなかろうか。
そう、つまり俺はこのジャバジャハット先輩に「ホ」の字なのであった。
・・・あ、あの! 急がなくては先輩も遅刻してしまいますよ!!
あら、私はいいのよ
おじい様に少し「お願い」すれば、この学校でなにをしたって許されてしまうのだから。
そ・・・そんな・・・
・・・そう、なにをしたって・・・。
え・・・?
どういうわけか、一瞬ジャバジャハット先輩の表情が暗くなったような気がする。
ところで
は・・・はい!
私はいいのだけれど、アナタはこんな時間にこんな所にいて、いいのかしら?
しまった! す、すみませんジャバジャハット先輩! ではまた!!
(・・・なんだかスターウォーズが観たくなってきたわ・・・。)
ガラガラッ
スミマセンッ! 遅刻しました!!
なんだぁ文 お前が遅刻なんて珍しいな
す、すみません先生!! 実は色々事情がありまして・・・!
俺は教室を見渡し、この遅刻の原因であるアイツを見つけると、すぐさま睨み付けてやった
・・・? ・・・・・・フフ///
件の原因であるコイツの名前は 「クシティ・ガルバ」 家が隣どおしの幼馴染である。
見た目どおり日本人ではなく、両親共に外国人だ。
しかし本人は5歳の頃から日本に定住しており、外国の記憶はほとんど覚えていないという。
まるで彫刻のように美しいその容姿とはうって変わって、中身はわびさびを知る日本人そのもの・・・
そのギャップに、クラスの男子のほとんどは見事に惚れこんでしまっている
・・・いや、騙されてしまっているというべきか・・・。
まったく、どうせ可愛い女の子でもみつけてついつい見とれてしまったんだろう。まったくお前は。
生徒A ハッハッハ!!
生徒B ちげぇねぇぜ!
生徒C こいつぁ傑作だぜ!げらげら!
ケモナー 副乳ダイスキ!
そ・・・そんなぁ・・・
まあいい、なんとか授業には間に合ったようだからとにかく席につけ。
はい・・・
ケモナー 副乳ダイスキ!
・・・よう・・・
おはよう、今日は随分熟睡できたみたいね。
お前なぁ・・・
何の因果か、俺とクシティは教室の席まで隣どおしなのであった。
昨日までは確かに定刻通りに設定してあった目覚まし時計が突如として変更されていたーーー
俺の部屋の窓は開いており、そこから見えるのは主人が学校へ行きもぬけの殻となったお前の部屋・・・
この何事件、キミならどう解決するかね?ホームズ?
・・・そうね・・・
犯人は隣人に住む同い年の住民でまず間違いないわ、現場に残った証拠が、それを裏付けているもの。
なるほど、しかし動機はなんなんだ? これは私の手に余る難問だよ。
それは明確よ
と言うと?
犯人は同い年と言ったわよね? これの意味する所・・・つまり幼馴染よ。
幼馴染・・・? それが一体今回の事件とどういう関係があるんだ?
幼馴染・・・それは古来より寝坊した主人公を起こしにやってくるメタファーなのよ。
大方、犯人は自分の存在を定義つける証明、自分が自分であると言う確信を得るため一番原始的で、一番確実である行為ーーー
つまり幼馴染である被害者を起こそうと計画を練ってみたものの、すっかり忘れて先に学校に登校してしまった・・・こんな所ね・・。
・・・お前、なんか最後に言っておく事あるか・・・?
他人を隔てる為の顔、それと意識しない声、目覚めの時に見つめる掌、幼かった頃の記憶、未来の予感・・・それだけじゃないわ
私の電脳がアクセスできる膨大な情報やネットの広がり それら全てが<私>の一部であり、<私>という意識そのものを生み出し・・・
そして、同時に<私>をある限界に制約しつづける
とりあえず一発殴らせろ
ネットは広大だわ・・・
よし、二発くらい入れてや・・・
ところでアンタ!!
え、ええ!? なんだよ急に!
可愛い女の子に見とれてたってどういう事よ!
ハ・・・ハァ? それは先生が勝手に・・・
ウソよ! だってアンタ教室入って来たときニヤニヤしてたじゃない!
そ・・・それは・・・
ジャバザハット先輩と話せたから・・・なんて言えない・・・よなぁ・・・
さぁ! きっちり説明してもらうわよ!
生徒D お!おいおい!いつもの痴話喧嘩がおっぱじまりやがったぜ!
生徒(番号忘れた) ヒャッハー!このお祭り騒ぎに乗り遅れるな!!
生徒V 胸の内で鳴り響く太古の衝動に身も心も差し出し躍りだそうぜ!!
ケモナー 副乳ダイスキ!
お前ら・・・
ち・・・痴話喧嘩なんかじゃないわよ! ・・・//////(かぁ~)
なにもかもが普通な俺の普通な毎日
そんな普通な日常が突如として崩れていくなんて、俺はこの時、考えても居なかったんだ・・・
・・・・・・
・・・通学路 文・・・
なんだか冴えない男ねぇ・・・
フフ・・・人を見た目で判断するでない
??? 奴にはとんでもない力が眠っているのだ
とんでもない力・・・ねぇ
ところで、コイツを殺せば約束通り、私をこの牢獄から出してくれるんでしょうね?
??? ああ、私は約束は必ず守る男だ
そう、期待してるわ。
うん、めっちゃ期待して
どこか遠くの地(と言っても大体九州あたりかと思われる)で、謎の2人が会話しているのが聞こえる。
牢獄と思われるそこには異様な雰囲気が漂っており
そこに投獄されている人物ーーー ーーー通称「紅の胸」もまた、異様な雰囲気を漂わせていた
一体、我らが通学路 文の身に何が起ころうとしているのか!!
その結末は、未だ誰も知らない!
一体、どうなってしまうのか!!?
ケモナー 副乳ダイスキ!