チュン・・・チュン・・・
ガサガサ>
ジー・・・ ウォ~↑ーニュ>
ジリジリ・・・
ヒョイッ バッ>
むーん・・・。
?
おはよう、コンちゃん何やってるの?
野良猫がいたんだよ。
あぁ、なるほど。
触れなかったでしょ?
その口ぶり・・・。さてはお主も挑戦したな・・・?
いぃかぁにぃもぉ~・・・。
で、あるか。
どうにかしてお近づきになりたいんだけどなあ。
まあ、何の献上品も無ければまず無理だね。
なん・・・だと・・・?
野良猫は最初は餌で釣るしかないね。それで第一印象を良くするんだ。
そして初回のお触りはご法度。こいつは餌をくれる奴、と認識してもらえるまで何回か通いつめるんだ。
そのうち向こうから近づいてくるようになる。で、手から直接餌を食べるようになったら、
まずはチョンとあごか喉元とかを偶然触れちゃった体で触るんだ。それで猫が逃げ出さなかったら、
次から段々触る場所を増やしていって・・・
あの・・・野良猫の話だよね?
え? 他にどんな話があるの?
い、いや・・・何でもないよ・・・。
お、奥が深いんだねぇ・・・。
まあ、さっきのは大人しいタイプの場合だね。ボスとか流浪タイプはプライドが高いからひっかかれちゃうし、
逆に世渡り上手なタイプは早い段階からすり寄ってくるけど、心は許してないから調子に乗ってると逃げちゃう
どんな時でも猫を思いやる自分を見失わないのが大切だね。
べ、勉強になりました・・・。
あっ ミャオ~ン>
元気そうだねぇ、ボス!> ミャ~ン>
さっき逃げてった猫だ・・・。
よーしよしよしよし!> ゴロゴロ>
ウズウズ・・・
く、熊くん・・・私も・・・。
フシャァアアアアアア!>
ひぃいい!
ボス、まあまあ、落ち着いて> ウヮーォー>
こ、これが野良猫道の熟練度の差なのか・・・。
ショボン・・・
ジー・・・ よしよしよし> ミャオミャオ>
ばいばいボスー>
あー、堪能したー。
ずるい・・・ずるいよ熊くん・・・。
うーん、追い打ちをかけるようで悪いんだけど、コンちゃんのマナーが悪かったよ。
猫の目は見つめちゃいけないんだよ?
な、なんだってー!?
まあ、他の動物にもある習性なんだけど、目と目を合わすことは敵意の現れになるんだよ。
人間で言うとチンピラが一番それに近いね。
ほら、山の中で野生の熊にあったら視線を反らすなって言うでしょ?
あれも敵意を熊に与えることで、こっちは油断してないぞ、ってサインを送ってるんだよ。
べ、勉強になりますなあ!
コンちゃんが今まで出会ったことのある野良猫を思い出してみてよ。
みんな、目を反らしてなかった?
そう言えばそうだった気が・・・。
あれも同じことなんだ。
僕には敵意がないよ、っていうサインを送ってるんだ。だからこっちも同じサインを送らなきゃ。
熊先生! その時はどうすればいいんですか?
目を閉じるか、視線をこちらも反らしましょう。無闇に動いてはいけません。
でもそれだと猫に近づけません。触れもしませんよ!
ボクから言わせると初めての出会いで触らせろっていう発想が図々しいです。
そんな! あんまりだ! 私も猫を触りたい!
では逆に尋ねますが・・・
コンちゃん、あなたは初めて出会った男性に髪の毛を触られました。顔もむにむにされました。どうしますか?
きゃあああ! 痴漢ー!
野良猫も、同じですよ?
む、むぐぅ・・・。
猫と触れあうには積極的な受け身でなくてはいけません。
相手は今何を感じているか、何を嫌がるか、何を喜ぶか。それを常に考えるのです。
うぅ・・・未熟な私には難しいです、先生。でも、でも・・・先生、猫が、触りたいです!
諦めたら、そこで猫終了ですよ?
そんなコンさんに良い情報をあげよう。
これを見てごらん。
かっ!
かわいいー!
あ、ごめん、間違えた。
えーっと、このコシロくんとかー。
このシロクロさんとかー。
この二匹は学校の近くをうろついてる半飼い猫だから、簡単に触れると思うよ?
うわー、かわいいなー。熊くん、私にもこの写真ちょーだいよー。
え、コンちゃんケータイ持ってたっけ?
持って、ないです・・・。
シク・・・シク・・・
猫の・・・写真すら・・・。
・・・ほ、放課後にこの二匹はここ来るからさ、二人で触りに行こうよ、ね? ね? 元気出してよ。
うん・・・。
きーんこーんかーんこーん
うわっ、予鈴だ! コンちゃん急がないと遅刻になっちゃうよ!
うん・・・。
グスッ ズビッ
ハックチ!
えっ?
熊くん、教室、ズビッ、いぐんでしょ? 先行っでるよ?
(まさか、猫アレルギー? ま、まさかね・・・いくらなんでも不憫すぎる・・・)
待ってよー。
はい、ティッシュ。
あんがと・・・ハックチ!
ハックチ! ハックチ!
(あ、ボス触った手で渡しちゃった・・・)
(コンちゃん、ごめんね・・・。 今度、猫画像プリントしてあげるから・・・)
ハックチ!
おわり