いつも弁当作ってきてくれて、ありがとうな、瑛未。
おっ、このカラアゲうめえ! こっちの卵焼きも! この魚の煮付けもイケるな!
俺、マジで瑛未と付き合えて嬉しいよ。だって毎日こんな旨い弁当食えるし。
ねえ、疾斗くん。
何だ?
疾斗くんって、私のどこが好きで付き合ってくれてる?
ん~、料理が上手いところに惹かれたかな? 現にこうやって旨い弁当食わせてもらってるし。
あと、服のセンスかな? 瑛未ってデートの時可愛い服とか着てるし。アレ結構似合ってるぜ。
何と言ってもやっぱり、お腹のたぽたぽ感? ちょっと肉が乗ってるぐらいがエロくて堪らんのよ!
私の中身とかが好きじゃないんだね。見た目やスキルがあれば、私じゃなくても他にそういう人がいれば誰でもいいんじゃない?
そんな訳ないだろ。どうしたんだよ、瑛未?
実はこの弁当の具、全部イオンで買ったものなの。
えっ、そうなの?
早朝からイオンに並んで惣菜を買って、弁当箱に詰めてるだけなの。
だから、この弁当が好きで私と付き合っているなら、
イオンの人と付き合えばいいんじゃないかな?
何でそうなるんだよ。
あと、私がデートで着てくる服だけど、
あれも全部イオンで買ったものなんだ。
へ、へえ~?
マネキンのコーディネートをそのまま真似して揃えただけで、私にファッションセンスなんてないんだよ。
だから、もし私の服のセンスが良くて付き合っているなら、
イオンの人と付き合えばいいんじゃないかな?
いや、だから何でそうなるんだよ。
最後に、私のお腹のたぽたぽ感が好きって言ってたよね?
別に私じゃなくても、お腹に肉が乗っている感じの人なら誰でもエロく見えるんでしょ?
だから、もし私のだらしない身体が好きで付き合っているなら、
イオンのパートのおばさんと付き合えばいいんじゃないかな?
おい、そろそろ良い加減にしろよ。何で俺がイオンのパートのおばさんと付き合わなきゃいけないことになってるんだ。
確か疾斗くんのお母さんって、イオンで働いていたよね? この間たまたま見かけたんだけど。
あぁ、そうだけど?
じゃ、お母さんと付き合えばいいんじゃないかな? 二人ともお似合いの関係だよ。
お前がそこまで言うんだったら、お袋と付き合っちゃおうかな?
・・・ってなるかっ?!
疾斗くんのお母さん相手じゃ私、勝ち目ないよ。どうかお幸せに。
マジでやめろって! そんな思い込みでお前と別れたくない。
思えば、1年の始業式の時に私に声かけてくれたのは、私の名前が瑛未で、
武井咲と同じ名前だったからじゃないのかな?
それは、むりくり感ありすぎるだろ!
結局別れた。
くそっ、何だよ瑛未の奴。
疾斗。
何だよ、お袋。こっちは今傷心中で・・・。
瑛未ちゃんから聞いたわ。アンタたち、別れたんだって?
アイツ・・・、余計なことを・・・。
その・・・、お母さんはいいわよ? 疾斗が私のこと、どストライクって思うのなら・・・。
いや、お袋とは付き合わねえよ?
てか、何でその気になってんだ、お袋ーッ!?
瑛未がイオンで働き始めました。良いオンナになる為に。
イオンだけに。